「料亭に行く時って、何かチョット特別な感じがする」って言う人が多いと思いますが,そんなに気張らなくても良いんですよ。これから少しづつですが、料亭でのいろいろな事、下働きのわちきが、ご伝授いたしましょう。
まずは、最初の一歩
よく靴を脱いで座敷に上がる時、このような場合はどうすれば良いのかと戸惑う人が多い様なのでお話ししましょう。
靴は、踏み石で普通に脱いでそのままで結構です。うちの場合は掛け軸側に向かって脱いだままでも、玄関側に向いて脱いだままでもどちらでも結構です。自分で向きなどを直す必要はありません。靴を片付けるのは店の者の仕事。通常、仲居が下足札をお客様にお渡しして靴を下足箱に入れますので、しっかり札を受け取ってお帰りの際にまた、仲居に下足札をお渡し下さい。
ただ、店の者が直しやすいように、さりげなく靴を横に揃えていただいたりするお客様はカッコイなあと思います。一番スマートなのは、横向きで立って靴を脱ぐ方法ですね。これなら、店の者にお尻を向けることもなく、靴は横向きになりますから、直しやすいですね。また靴の事では有りませんが、座敷に上がりますので恥をかかない様、出来れば靴下は穴が開いていないかは是非チェックして来てくださいね。
その昔、旅館や料亭では,この係を専門に下足番がおりました。今はほとんど見かけませんが大事なお仕事でした。
余談ですが、
阪急電鉄や宝塚歌劇団を始めとする阪急東宝グループの創業者の小林一三の有名な名言で
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にはしておかぬ。」があります。
自分にはチャンスがもらえないと嘆く人が多い。
しかし世の中は捨てたもんじゃない。
必ず見ている人はいる。
能力があれば必ず世の中に出ることができる。
本当に出来る人を世の中が見逃す事は滅多に無いからだ。
まずは、自分の今やるべき事,与えられた事に全力を尽くしてみるといい。
そこに必ず多くの発見があるだろう。
下足番でも何でもいい。
そこを極めて行くうちに世の中のことも見えてくるだろう。
豊臣秀吉は,織田信長の下足番から出世したという。
下足番をするなかで信長の力量をわかったし、信長もその下足番ぶりから、秀吉がただの下足番でないことがわかったはずだ。
だからどんなことでもいい、それを極めていけば、自分の先の進み方もわかるし、人も世の中もよく見えてくるものだ。
そんな意を込めた名言でした。
それではまた、「料亭あらかると」で料亭のいろいろなお話をさせていただきます。
Copyright © Ryotei Hamanoya All Right Reserved.